網膜静脈閉塞症について

網膜静脈閉塞症とは?

網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が詰まっている状態です。
網膜の静脈が詰まると静脈の圧力が上がり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。また、網膜に血液中の水分がたまったりして、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。
年を重ねると発症しやすい病気で、高血圧や動脈硬化と深い関連があります。網膜静脈閉塞症の患者さんの多くは、高血圧のある方です。これは、高血圧により、血管がダメージを受けること、つまり動脈硬化が影響しています。
高血圧のほかにも、血管自体の炎症により発症したり、糖尿病などの血液の粘性が増す病気がある方でも発症しやすくなります。また、緑内障のある方も発症しやすいと言われています。
40歳以上の日本人では網膜静脈閉塞症の有病率は2.1%との報告があります。
男女共に有病率は年齢と共に増加する傾向にあります。

症状

網膜静脈閉塞症では、網膜の静脈が詰まってしまうため、網膜に出血やむくみ(黄斑浮腫)が起こります。そのため、視力が急に下がったり、ものが見えにくくなる、見えない部分があるなどの症状が出ます。特に黄斑部分に出血やむくみができると、かすんで見えにくくなったり、黒っぽく見える部分ができたりします。

急な視力低下

出血したところが黒っぽく見える

網膜静脈閉塞症の種類

網膜静脈閉塞症は、詰まった静脈の場所により、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症などに分類されます。

①網膜中心静脈閉塞症

眼球の後方にある網膜中心静脈(根本)が詰まって発症します。

②網膜静脈分枝閉塞症

静脈が網膜内で枝分かれしている部分(枝の部分)が詰まって発症します。

網膜静脈閉塞症の治療

①抗VEGF療法(注射)、②レーザー光凝固術、③ステロイド療法、④硝子体手術などの治療があります。

抗VEGF療法

網膜静脈閉塞症に伴う黄斑部のむくみには、VEGFという物質が関与しています。そのためVEGFのはたらきを抑えるお薬を目に注射します。

レーザー光凝固

レーザー光線を出血部やむくみのあるところに照射して、むくみを抑えます。光凝固は重症化を防ぐために予防的に行われる場合もあります。

ステロイド療法

炎症を抑える作用があるステロイド薬を目に注射して、黄斑のむくみを抑えます。

硝子体手術

他の治療法で十分な効果が見られない場合や硝子体出血が起こっている場合などには硝子体手術が行われることがあります。