加齢黄斑変性とは?
加齢黄斑変性は黄斑の加齢に伴う変化によって起こる疾患で、高齢者の視覚障害の原因のひとつです。脈絡膜から発生する新生血管(脈絡膜新生血管)を伴う「滲出型」と細胞の組織が徐々に萎縮する「萎縮型」に分類されます。
年齢が高くなると発症しやすくなります。また喫煙者は発症する頻度が高いことがわかっています。太陽光、高血圧、脂質の多い食生活、遺伝などの関与も指摘されています。
患者さんの数は1998年では約37万人、2007年では約69万人と推定されていますが、約10年間で2倍に増加している事が特徴です。
症状
ゆがんで見える、視野の中心が暗くなる・欠ける、色がよくわからない、見たいものがはっきり見えない、視力が落ちたなどがあります。
急に視力が低下
突然見えないところができる
物がゆがんで見える
すぐわかる症状の検査法(アムスラーチャート)
- 片方の目だけで見てください。
- 格子状の図中にある中心の黒い点を見つめてください。
このとき、黒い点を含む中央のあたりが、ゆがんで見えたり、部分的に欠けて見えたりしませんか?そのような場合は担当医に相談しましょう。
加齢黄斑変性の種類
「滲出型」加齢黄斑変性
脈絡膜新生血管が発生し黄斑が障害されるタイプです。
病状の進行が早く、急激な視力低下をきたします。早期に検査と治療をおこなうことが重要になります。
「萎縮型」加齢黄斑変性
加齢によって網膜色素上皮細胞とブルッフ膜の間に老廃物がたまり、網膜の組織が徐々に萎縮していくタイプです。病状の進行は緩やかで視力もすぐに悪くなりません。しかし新生血管が発生することもあるため、定期的に通院して検査をおこなう必要があります。
加齢黄斑変性の治療
①抗VEGF療法(注射)、②光線力学的療法、③レーザー光凝固術などの治療があります。
抗VEGF療法
眼の中にあるVEGF(血管内皮増殖因子)という物質が新生血管を成長させたり、血液の成分を漏れやすくします。このVEGFのはたらきを抑えるために眼に薬剤を注射し、新生血管の成長や血液の成分の漏れを抑えます。複数回注射を行います。
光線力学的療法(PDT)
光に反応する薬剤を静脈に注射し、その薬剤が新生血管に到達したときにレーザーを照射する治療法です。レーザーにより薬剤が活性化され新生血管を閉塞します。このレーザーは新生血管以外の組織にはほとんど影響しません。治療後は3ヵ月ごとに検査をおこない、その結果により必要に応じて再度治療を実施するという、継続的におこなう治療法です。
レーザー光凝固術
新生血管をレーザー光で焼き固める治療法です。正常な周囲の組織にもダメージを与えてしまいますので、新生血管が中心窩より外にある場合にのみ実施されます。
日常生活での注意点
①たばこを控えましょう
喫煙は加齢黄斑変性の危険因子となることが明らかになっています。喫煙している方には禁煙を強くお勧めします。
②日光・ブルーライトから目を守りましょう
太陽光のとくに青色光は、黄斑の老化に関係するといわれています。屋外では帽子やサングラスで目を守りましょう。
パソコンやテレビなどの青色光も同様に良くないといわれています。長時間のパソコンの使用やテレビの観賞は控えましょう。
③バランスのいい食事を心がける
加齢黄斑変性の発症予防に良いとされる栄養素として、ビタミンA、C、Eなどの抗酸化ビタミンやルテインなどのカロテノイド、亜鉛などの抗酸化ミネラル、ωオメガ-3 多価不飽和脂肪酸などが知られています。
緑黄色野菜には抗酸化ビタミン・カロテノイドが豊富に含まれています。また、穀類、貝類、根菜類には亜鉛が含まれていますし、魚類などにはω-3多価不飽和脂肪酸が含まれています。
(必要に応じてサプリメントもご紹介できます。ご相談下さい)